インバウンド誘致のなかった自治体が急成長?その理由とは?

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訪日無縁状態から大逆転の紀美野町と佐賀県

「訪日外国人“0”の町」和歌山県紀美野町

“0”を逆手に取ったPR

大阪府のお隣さんであるにも関わらず、インバンドに不利な地理の和歌山県。
しかし、現在の訪問率や宿泊人数は全国上位半分に属している。
インバウンドがない事を逆手に取ったPRが大ハマりしたのだ。

YouTubeで配信された「訪日外国人“0”の町」というPR動画は、関西空港には年間1,200万人、高野山には年間7.6万人の外国人が訪れるにも関わらず、そこから車で1時間の距離の和歌山県紀美野町に訪れる外国人は年間0人だというつかみから始まる。

その後、地元の野菜で作った野菜ジェラートが食べられる「キミノーカ」やベジタリアン料理が楽しめる「くらとくり」などのおすすめスポットの紹介がされ、日本有数の星空の名所である紀美野町には「みさと天文台」があるなど、町の良さが詰まった動画となっている。

通常のPRなら町の良さを前面に出してアピールするが、紀美野町は「いい所はたくさんあるのに、訪日外国人は“0”です」という逆説的なPRとなっている。

この逆説的なPRは香港をターゲットにしたもで、訪日リピーター世界トップクラスの香港は、このような考え方が大好きだ。
これが相まって、地理的にインバウンドに向かない和歌山県に訪日外国人が増えたのである。

「物は考えよう」とはよく言ったもので、普通なら不利な要素も、逆転の発想で一気に状況を好転できるものだ。
訪日外国人が少ない地域も、この例から可能性を見出せるはずだ。

出典:https://honichi.com/cases/measures/movie/moviexlocalgovernments/



再開集団常連が聖地巡礼の町となった佐賀県

映画で爆発した佐賀人気

2013年、タイ人観光客370人の佐賀県が、2015年同5,190人(前年比337%)に急成長を果たし、タイ人からの人気の観光都市となった。
このきっかけとなったのは、タイの1本の映画だった。

「タイムライン」というタイ国内での興行収入5位を記録した大ヒット映画ある。
その舞台となったのが、佐賀県の祐徳稲荷神社、呼子、波戸岬等である。
この映画のロケ地としての誘致成功が、佐賀県のインバウンド情勢を一変させ、タイ人が聖地巡礼のために訪れるようになったのだ。

口コミ効果でドラマの撮影地にも

映画の聖地巡礼で訪れたタイ人の口コミの効果もあり、映画「タイムライン」ブームに引き続き、2015年に2本の佐賀にまつわるドラマが制作された。

タイの国民的スーパースターであるバード・トンチャイが主演のTVドラマ「きもの秘伝」とLINE TVが世界で初めて制作したドラマ「STAY Saga 〜わたしが恋した佐賀〜」の2本の制作は、佐賀県の知名度をさらに上昇することにつながった。

これらのチャンスを活かすために佐賀県は、ロケ地を紹介する冊子を制作し、現地でのプロモーションを積極的に行った。
その積極的な活動が実り、2017年にはNHKワールドTVより、世界160カ国に向けて「ガタの国から」という佐賀発の地域ドラマも放送され、タイ人気県・佐賀となったのだ。

出典: https://www.asobo-saga.jp/



発想の転換が一発逆転の一打に

弱みを強みに

インバウンドとはほぼ無縁だった、上記2つの地域だが、紀美野町は逆説的発想から、佐賀県はロケ地誘致というきっかけから一発逆転に成功した。

コツコツとインバウンド需要向上に取り組むことも大切である。
しかし、今あるものを違う視点から見たら、ほかの使い方をしてみたら、何か新しいことに取り組まずとも現状打破できるかもしれない。

新しいことを生み出すのも、新規顧客の獲得や現在の顧客を飽きさせないということでは大切だ。しかし、何か新しいものを生み出すとき、それは大変な労力と時間、時には犠牲も払うだろう。

だから、何かを新しく生み出す前に、今の状態をもう一度確認してみてほしい。ちょっとした発想の転換で、大きな武器に変わるかもしれない。
筆者は、新しいものを生み出すなと言っているのではない。一歩引いて見ることで変わることもある。それに気づいていただけたらと切に願っているのだ。