勢い増す中国ECサイト「拼多多(Pinduoduo)」

212

急激に勢力を拡大する「拼多多」

2019年も順調に売上を伸ばし、過去最高額を記録した中国ECサイト。
天猫(Tmall)、京東(JD.com)の2強は依然として変わらないが、急速に成長を続けるECサイトがある。それが2019年のダブル11で、京東に次ぐ第3位のシェアを記録した「拼多多」である。

それでは、なぜ拼多多が急速に成長しているのか、その概要や戦略を詳しく見ていきたい。

拼多多とは?

「拼多多」とは、2015年9月に設立された中国のECプラットフォームで、運営会社の名称はプラットフォーム名と同じ拼多多(Pinduoduo)である。
テンセントなどの大手から総額10億ドル以上の出資を受けている。

2018年にユーザー2億人、取引総額1000億元を突破したと言われており、同年7月26日にNASDAQで上場。
2019年2月には10億ドルを超える株式を追加公開した。同時期にアクティブユーザー数はアリババグループの5億人に次ぐ4.8億人となった。

安価な値段での取引が特徴で、食料品から家電製品まで幅広いジャンルの商品を取り扱っている。

下記より、拼多多の戦略を見ていきたい。



「共同購入」という得する仕組み

中国ECサイトのイメージといえば、やはり「お手軽」「安い」といったところではないだろうか。
拼多多では、「共同購入」というシステムを使い、さらに安価でお得な買い物ができるようにしたのだ。

では、この「共同購入」というシステムはどんな仕組みになっているのだろうか。

指定された人数での購入

「共同購入」と聞けば、複数人で商品の購入をすることが想像できるだろう。
その通り、「共同購入」とはまさしく複数人での購入のことで、共同購入者を募ることによって商品を破格の値段で購入することが可能になっているのだ。

ただし、「決められた時間内に指定された人数」を募る必要があるのだ。

単純なことだが、何のルールもなく共同購入者を募れるのなら無法地帯になってしまい、やりたい放題になってしまう。そのため、このようなルールを設けるのは当然だといえるだろう。

募集はSNSで

「共同購入」の購入者を募って商品を購入するという流れはわかったが、どのように募集するの?という疑問が浮かんでくる。
そこで活躍するのが中国で普及が進むSNSだ。

まず、中国版LINEのWeChatやQQなどのSNSで購入予定の商品の募集をかける。
次に、商品ページに移り共同購入を募集しているユーザーの一覧から共同購入に参加する。
これで、共同購入が成立するわけだが、どれだけSNSを駆使して友達や家族を巻き込めるかという楽しさがあり、商品購入が自分の影響力を発揮するゲームのような作りになっている。

そのような楽しむ要素が含まれているのも、この「共同購入」が人気の理由の一つかもしれない。

また、SNSの醍醐味である「コミュニティの強化」を最大限活かしながら、お得な商品購入につなげている点も拼多多の強みと言えるだろう。

販売業者もうれしい共同購入

「共同購入」は、消費者だけにメリットがあるわけではない。
実は販売業者もメリットがあるのだ。

「共同購入」によって、ある程度固まった量の商品が一括購入される。
これは、業者が抱える倉庫の在庫軽減につながり在庫管理側としても非常に助かるため、大量購入時は安くなるのだ。

だから、安価で購入できるECサイトにおいて、さらにお得に購入できる手段を拼多多は実現することができたのである。



ターゲットは地方在住の中低所得者

アリババグループや京東は大都市の比較的高所得な層をターゲットとして販売を行ってきた。

この一級都市は経済規模が大きく、取引額が高くなるのでターゲットにするのは当然といえば当然である。
対して、拼多多は地方都市の中低所得者をターゲットにした。

これにより成功した拼多多の勢いは止まることを知らず、危機感を感じたアリババは地方都市への販売強化に取り組んでいる状況だ。
さて、拼多多はどのようにして地方都市のユーザーを獲得したのだろうか。

三級、四級都市にアプローチ

拼多多がアプローチしたのは、「三級都市」「四級都市」と言われる中低所得者が住む地方都市だ。いわゆる田舎町といったところだろう。

この「三級都市」「四級都市」のユーザーは、一級都市の人々のように高級ブランドに手の届かない人も多く、安さが購入の判断基準における大部分を占めている。
そういった中低所得者のライフスタイルに合わせてビジネスを展開したのが拼多多で、多くの地方都市ユーザーの獲得につながったそうだ。

工場直送でさらにお安く

インターネットの普及率が60%と言われる中国だが、大都市においてはほぼ普及しきっているといえる。この普及の余地があるのはWeChatなどのSNSで情報収集を行っている地方都市のユーザーで、今後さらなる成長が期待されている。

そして、このターゲット層の違いが配送料の差にもつながっている。

アリババは富裕層向けに有名ブランドの販売を強化しており、対して拼多多は消耗品のまとめ買いなどを主力にしている。そのため拼多多は、注文を受けた後に工場から直接ユーザーに配送している。
この直送が、配送費のコストダウンを実現した。

また、このターゲットの違いは、小規模な販売業者や製造業者を拼多多に移らせることになった。アリババは覚悟の上での判断だったのかもしれないが、例えば越境ECで中小企業が販路を拡大しようと思うと拼多多の方が出店しやすく、新規参入する業者を呼び込みやすいだろう。

この点を、アリババがどう補っていくのか注目だが、拼多多の秘められた可能性というのは非常に大きいといえるのではないだろうか。



今後の成長と課題

ここまでは拼多多のいいところばかりを話してきたが、拼多多に課題がないわけではない。
最後に、その課題と今後の成長について見ていきたい。

アリババの新たな販売手法

拼多多の成長を目の当たりにして、アリババが黙っているはずもなくもちろん対策を講じてきた。

それが「淘宝特価版アプリ」という共同購入・低価格商品の販売を行うアプリだ。
また、「天天特売」と言われる新たな格安販売を開始したことによって、拼多多にとって大きな脅威となった。

これがアリババの言っていた「地方都市向けの販売強化」だったのかもしれないが、拼多多はこれを乗り越えることで中低所得者をターゲットとした販売の地位を揺るぎないものにできるのではないだろうか。

商品の偽物問題

もうこれは中国でおなじみの問題かもしれないが、急成長と格安販売の裏側にはどうしても付きまとってくる問題だ。大都市の質を求めるユーザーが少ないため、品質に関する問題やクレームは多いだろう。

この点においては、大都市向けの販売を行っているアリババに分があるといったところだろうか。

何にせよ、この課題の改善は急務と言える。
今後、ユーザー層を拡大していく上でも必要不可欠な事案だ。



まとめ

急成長を続ける拼多多。
その成長には洗練された戦略と独特な販売手法があった。
ただ、課題も山積みでそれが今後の成長を左右することになってくるはずだ。

しかし、拼多多な新勢力が数年で一気に頭角を現すというのは、中国EC市場の楽しみなところで無限の可能性を感じることができる。

これから越境ECを考えている日本の業者は、もしかすると拼多多のようなところをターゲットにして出店するのがいいのかもしれない。