EC市場が勢力を強める中国
一世を風靡した「爆買い」。
現在も爆買いの名残りはあるが、全盛期に比べると落ち着いてきたように思える。
某大手メーカーの営業マンはこう話す。
「銀座や新宿などの中心都市での爆買いを除き、地方でインバウンドが盛んだったお店のインバウンド消費額は前年の8掛けほどに落ち込んでいる」
このようなメーカーの悩みは「モノ消費→コト消費」が関係していると考えられる。
訪日客のほとんどは、モノは大体買い揃えたというのが現状で、コトへの需要が高まっている。
実際に訪日外国人消費額自体は過去最高を記録しているので、メーカーの商品の消費額が落ちたのであれば、サービスの良い旅館や飲食店、他ではできない体験ができるテーマパークや自治体にかけるお金が増えたと考えるのが妥当だろう。
なので、現在のインバウンドの状態は、爆買いというよりも訪日リピーターの大量ついで買いという方が正しいのではないだろうか。
もう一つ考えられるのは中国EC市場の拡大にある。
現在、中国では毎年のようにECの利用者とその消費額は伸長している。
そこで日本のメーカーの製品を購入する人が増え、日本で爆買いする必要がなくなったと考えられる。
ECで購入すれば輸送費はかかるが手元まで届くし、定期購入が可能である。
爆買いのイメージが強い中国人だが、実は値段に結構シビアな人が多いのが実情だ。
よって、ECサイトのお得な期間を狙って定期購入をする人が増えても、何ら不思議ではないのだ。
しかし、まだ中国EC市場は発展途上。
成長市場ではあるが、まだまだその利用者は少数派である。
日本の製品への好印象も相変わらずで、国内GDPの落ち込む日本が、海外販路開拓のために中国EC市場に乗り出すのは良い選択になるはずだ。
爆買いとは別の方法で消化の最大化を図るために、越境ECは考えていく必要がある。
中国ECサイト最大手の天猫(Tmall)、京東(JD.com)の他、自社ECサイトの立ち上げに取り組む必要があるだろう。
※自社ECサイトはリピーター獲得や独自サービス提供の面で優れるが、専門性が高いため専門家に依頼すること推奨。
また、効果的なプロモーションで認知拡大・集客を行うことも大切だ。
知らない・信憑性に欠けるものは敬遠するのが中国人の特性だ。
中国人はコミュニティを大切にしていて、口コミや知人からの紹介を一番信頼できる情報と考えているのだ。
そのため、今中国で流行っている「ライブコマース」や、中国で取り組む企業が増えてきた「インフルエンサープロモーション」などが効果的なのだが、これについては次回の記事で詳しく説明していきたい。