インフルエンサー招聘・動画制作協力 実際に訪日してもらうことでPR力向上を狙う自治体

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実体験でより良いPRにつなげた中部・北陸と北関東

中部・北陸地方には昇竜道(ドラゴンルート)がある!

観光分野で広域連携した中部・北陸が擁する道、昇竜道(ドラゴンルート)。

ゴールデンルートの対抗馬として現れたダイヤモンドルート。
その一方で中部・北陸地方には昇竜道(ドラゴンルート)が出現していた。
能登半島を竜の頭に見立て、中部・北陸地方 (富山県・石川県・福井県・長野県・岐阜県・静岡県・愛知県・三重県・滋賀県) 全体を竜が昇る様子として、この地域を「昇竜道(ドラゴンルート)」と呼ぶ。

この昇竜道(ドラゴンルート)は、2017年10月より中国向けのインフルエンサープロモーション実施を開始した。

ターゲットはファミリー層で、インフルエンサー自身が家族と一緒に昇竜道(ドラゴンルート)を楽しみ、それを動画撮影して中国のSNSへ投稿してもらうという内容だ。
この募集期間中は、SNSにリアルタイムで発信してもらい、実際に楽しむ様子を身近に感じることができるように工夫された。

親子で楽しめるアクティビティを動画配信してもらい、昇竜道(ドラゴンルート)の楽しみには多様性があることを伝えてもらった。
具体的には、下記のような体験だ。

  • 名古屋のレゴランドジャパン
  • 軽井沢のそば打ち体験
  • 岐阜県の高鷲スノーパークでのスキー体験

定番ルート離れを謳い、コト消費を求める傾向にある中国人からすると、この動画配信は魅力的に映ったのではないだろうか。

出典:https://honichi.com/cases/measures/influencers/influencersxlocalgovernments/



外国人と共に動画制作する「北関東中核都市連携会議」

外国人参画型PR動画制作

訪日外国人の訪問率も高い関東。
その訪問率は1位東京(48.2%)2位千葉(39.7%)6位神奈川(9.6%)と他を圧倒する都県が続く。日本人に馴染みある日光東照宮を有する栃木県の那須エリアは、外国人の旅行先としては認知度が低く訪問率も1.5%しかない。

茨城県、栃木県、群馬県はインバウンド対策に苦戦を強いられている。

そこで「北関東中核都市連携会議」(宇都宮市、高崎市、前橋市、水戸氏の四市長からなる新連携策を提案する会議)は、2018年1月31日、2018年度は外国人に同市の魅力を伝える動画制作コンテストを開催することを決定した。

通常の動画制作といえば専門の企業に制作依頼することが考えられるが、同会議では、外国人に動画を制作してもらい、それをYouTubeに投稿してもらうという外国人を巻き込んだ取り組みを実施したのだ。

自治体ごとに動画制作の取り組みは様々だが、同会議における外国人を巻き込んだ動画活用は少しテイストが異なる。外国人自身に地域を知ってもらい、その良さを動画で配信するとは、なんとも奇抜で趣のある取り組みだ。

また、コンテストとして開催しているのでクオリティも期待でき、外国人も楽しみながら取り掛かれるはずだ。

出典:https://honichi.com/cases/measures/movie/moviexlocalgovernments/



現地を知ってもらうことの重要性

実際に触れた生の声は貴重

上記2つの事例は、実際の現場を発信者の外国人が知っているというのがポイントだ。
基本的に諸外国へのPRは現場を知らない外国人に対して、現場を知っている日本人が、日本人の視点で発信しているのがほとんどだろう。これでは、文化の違う外国人に伝わる魅力は限界がある。

そこで、外国人自身に発信者となってもらい、現場を知り、本国に向けて外国人の視点で発信することで、伝わる魅力は最大限引き出される。

インフルエンサーマーケティングを行う上で、同じ文化・価値観の人間が、実際に体験したものを自分の言葉で伝えるのが理想だと、筆者は考えている。
特に、インフルエンサーは本国での「ウケ方」を熟知しているプロフェッショナルなので、それに勝るものはない。

現に中国においては、自分の信頼する人(家族・友人・恋人)や自分が憧れる人(芸能人・アイドル・KOL)以外から入ってくる情報は懐疑的に捉えられ、購買行動につなげることは難しい。

訪日外国人による発信、インフルエンサーの本国へのプロモーションは、地方創生PRにおいて重要な手段となってくるだろう。