中国の文化的トレンド「ナイトタイムエコノミー」

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夜を迎えるという昼間の仕事からの解放

中国青年報は、「昼間は仕事をするだけ、仕事が終わるとやっと生活を楽しめる」といった考えのナイトタイムエコノミーという現象が注目を集めていることを報じた。

北京市統計局が発表した「2019年北京市夜間消費調査報告」によると、ナイトタイムエコノミーに対して、40歳以下の層は特に強い魅力を感じるという。

その「ナイトタイムエコノミー」という夜の消費とはどんなものなのか、具体例をいくつか見ていきたい。

まずは、夜の文化消費の重要な一環である実店舗書店だ。
近年はECの打撃を受け、その数も減少傾向にあるが、三聯稲奮書店というネットで人気の書店になったケースも存在する。
ネットが普及している今日、実店舗へのバックアップは課題である。

次に、ストリートミュージシャンだ。
五棵松で副業として活動するとあるストリートミュージシャンは、1回のパフォーマンスで5時間歌い続けるライブを1年あまり行ってきた。

彼は 「夜になると人の流れがどんどん大きくなる。最初に歌った時はお客さんは一晩で20人くらいだったが、今は300人になる時もあるし、もっと多い時もある。今年の中秋節(旧暦8月15日、今年は9月13日)連休期間には、五棵松を3回もぐるぐる回ったけれど、車を止める場所が見つからなかった」 と話す。

キャッシュレス化の進む中国のストリートミュージシャンは皆、ステージ部分の前にチップ受け取りコードを提示し、聴衆はQRコードを通じてチップを贈るという。

最後は、タロット占いだ。
癒しを必要とする夜に行われる「お手軽タロット占い」は、タロットカード占いの形式で行う心理コンサルティングサービスで、 相談者の話をじっくり聞き、相談者が自分の気持ちを語り、対面でコミュニケーションが重要なようだ。

しかし、中国で心に関わる仕事はなかなか人に理解されず、受け入れられないことがほとんどだという。
排除しようとする人、恐怖感を抱く人もいるのが現状だ。

このタロット占いに従事するある男性は「タロットカードの神秘の衣は、心理コンサルティングに対する人々の警戒心を解くことができる。うちに来るお客様は30歳前後の若い人が中心で、相談のピークは午後7-11時。閉店しても並んでいる人がいる時もある。うちのスタッフの一日あたり平均収入は大体800-1千元で、多い時は3千元に達する」と話す。

ナイトタイムエコノミーの発展により、若い人々がSNSやECだけに浸りきるという事態は免れた。自分で足を運び、実際に体験して感じることは、ネット上では得られない幸福感と満足感をもたらしてくれる。

ネットの普及だけでなく、このような文化的要素の普及も同時に進み、便利さと人の温かみを知ることができる世の中になれば、これから先の未来はより明るいものになるのではないだろうか。

参考:http://j.people.com.cn/n3/2019/1023/c94476-9625732-3.html