「一人っ子世代」の健康食品志向

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健康食品産業を支える1990年代生まれ

中国の工人日報は、働き盛りの1990年代生まれの若者が、自分の健康や美容に不安を抱き始め、美容商品や健康食品などを買い求めるようになり、健康食品産業の成長を牽引するようにさえなっていることを報じた。

ある動画サイト運営会社の26歳女性は、ケーキを食べたり、ミルクティーを飲んだりすることなく、アズキ、ブクリョウ、ハスの実を煮込んだスープを飲んで「これを飲むと元気が出る。北京の空気は乾燥し過ぎているので、明日か明後日にはシロキクラゲのスープを作って、滋養をつけないと。25歳を過ぎたら、絶対に健康や美容に注意しなければならない」と語っている。

科学研究機関勤務の31歳女性は、以前は好きなものを好きなだけ食べ、お酒もたくさん飲んでいたが「去年から、糖分を取らないようにしている。最近、抜け毛が気になって、不安なので、抜け毛対策の商品を使っている」と話している。

90後(1990年代生まれ)の男女が気にしているのは、抜け毛や糖分制限、滋養強壮といったものにとどまらない。

最近、微博(Weibo)で「健康診断の結果を見るのが怖い90後」という投稿に多くの若者の共感が集まった。90年代生まれは「自分の生活は不規則で、体は亜健康の状態」というの共通認識があるようだ。

ある調査では、「一人っ子世代」は他の世代よりも危機感が強いという統計を出しており、これも健康への不安に関与しているのではないかという見解もある。

若者をターゲットにする健康食品企業に警鐘

健康食品業界は購買力のある若者を見逃さず、彼をターゲットに商品開発を進めているという。すでに2015年からこのような動きは見られ、若い女性をメインターゲットとして海外健康食品の販売も活発に行われた。

越境ECが急速に発展しているのを背景には、これらの動きも関係していたことがわかる。

しかし、健康食品の広告は、その効果・効能をアピールするものの、副作用についての言及がないことに中国メディアは疑問を呈する。

中国のネット上で大人気の「糖化ケアサプリ」は、中国国内外を問わず、芸能人やネット有名人、さらに一般人の間で、「糖化ケアブーム」を巻き起こした。「ミルクティーは飲まない」「糖分は摂らない」ではなく、「糖化スキンケア」「糖化ケアサプリ」が本当に作用するのか疑わしい、という気持ちもなんとなく分かる。

日本の人気エイジングケアシリーズは、数万円もする商品でも売り切れ続出となっているが、「日本の品質」というブランドだけでなく、自分に本当に合っている商品かの確認も忘れないでほしい。

中国の若者の健康に対する悩みが、解決に向かうことを願うばかりだ。

参考: http://j.people.com.cn/n3/2019/1024/c94475-9626222-2.html