【新型コロナウイルス】全国休校の日本と自宅で授業を受ける中国

1997

外出の禁止・制限のある中国の対策は?

2日、全国の小中高校は日本政府の要請を受け、新型コロナウイルスの感染拡大による一斉休校に踏み切った。

各学校では、評定の基準となる試験が実施できないことや授業の進度、卒業式を行うことができない等、各種運営における混乱を招いている。

新型コロナウイルスが発祥した中国。今現在も、外出の禁止・制限、または隔離という状況が続いている。そうした日本よりも外出が難しい状況で、中国の学校教育はどのような対策をしているのだろうか。

中国はオンラインで授業

感染防止に向け全国一斉休校とした日本。
それに対して中国は、休校ではなくパソコンやモバイル、テレビといったデバイスを用いてオンライン授業を行うという手段を取った。対象は、全国の小学校から大学までの全ての学校というのだから驚きだ。

これは勉学に対するモチベーションの差なのか、民主主義と共産主義という国の文化の違いなのか、はっきりとした理由があるわけではないが、中国人の勉強に対する取り組みは本物だろう。
中国では、子どもよりお母さんの方が勉強熱心になって豊富な知識を身に付けたりすることもしばしばあるそうだが、親がそれだけ真剣になるほど勉学のウエイトが大きいことが窺える。

勉強が全てと言いたいのではないが、中国のその高い意識に敬意を表し、中国の学生たちの自宅での勉強風景を見ていきたい。



オンライン授業を自宅で受ける中国の学生たち

この写真の学生は自宅でスマートフォン片手に教材の問題を解いている。

スマートフォンで授業を受ける学生

普段の授業のように、同級生と共に質問もしながら授業を受けるということはできないが、感染防止を考慮しつつ授業の進度を保つにはこの方法が最適だろう。

タブレットで授業を受ける学生

また、こちらの学生はタブレットと向かい合って授業を受けている。
スマートフォンを持つ必要がないのと画面が大きいことから、タブレットの方が授業は受けやすそうに感じる。

パソコンで授業を受ける学生

さらに、こちらの学生はパソコンで授業を受けている。
各家庭でオンライン授業の受け方も様々だが、皆真剣にオンライン授業を受けていることが窺える。


コロナウイルスが勉学を休む理由にはならない

中国の友人に聞いた話では、コロナウイルスの感染は中国人の勉学を休む理由にはならないという。勉強することが自分たちの未来を切り開くと考えている中国人は、どんな状況下に置かれても学びはやめないそうだ。

この貪欲さとひたむきな努力があったからこそ、中国は急激な経済成長を遂げ、今や世界の主要な国の一つになったのではないだろうかと感じた。

日本では、感染防止で一斉休校にしたものの多くの学生たちは春休みが長くなったと遊びに出かけており、休校の意味があったのか疑わしいところもある。

どちらの対策がいいというわけではないが、中国の学びの姿勢には感心する。



実は規定がある中国のオンライン授業

中国の友人のからの情報では、中国のオンライン授業には規定があり、原則それに従って行うとのことだ。

では、どのような規定があるのだろうか。


基本は録画によるテレビ放送

先ほど紹介した授業風景では、パソコンやモバイルばかりだった。
しかし、実際に定められている規定は以下のようなものだ。

オンライン教育活動を展開するには、録画教育を主とし、オンライン指導とオンラインでの質疑応答を結合しなければならない。オンライン教育はテレビ放送を主とし、学生が過度に携帯電話やパソコンを使わないようにし、放送の安全と生徒の目の安全を確保する。

この規定からすると、オンライン授業におけるパソコンやモバイルの使用はあまり望ましくないことがわかる。かと言って、全ての人が対応できるわけではないので、極力パソコンやモバイルを使用しないということを推奨している形だ。


録画に取り組む先生たち

先生たちも大事な生徒に向け、撮影をして配信する必要がある。
下記はその撮影風景だ。

出典:新兴融媒体中心

写真からわかるように、パソコンやディスプレイで映り方・授業内容が適切かを確認しながら撮影し、生徒たちが見やすく理解しやすいよう配慮されている。
教わる側も教える側もその本気度が伝わってくる。


テレビでオンライン授業を受ける学生も

前述したように推奨されるのはテレビ放送によるオンライン授業で、そのための撮影もされている。ここまでは、パソコンやモバイルで授業を受ける学生を紹介してきたため、テレビ使用者はいないように感じた方もいるかもしれないが、ちゃんとテレビ放送によるオンライン授業を受ける学生もいる。下記はその一人だ。

出典:北海日報

このようにテレビだと大画面で非常に見やすく、画面との距離もあり目にも優しい。この形が、中国政府の理想だと言える。

だが、中国の友人曰く、残念なことにあまりテレビ放送でのオンライン授業は浸透していないようだ。



まとめ

中国の友人とのやり取りで、日本と中国で対照的な対応が垣間見えた。

どちらが正解という明確な答えはないが、日本の休校は結局学生たちが飲食店やアミューズメント施設に行くきっかけを与えているため、あまり感染リスクの低減につながっているように感じないのが正直なところだ。

これで感染率が上がってしまうようなことがあれば、それは本末転倒だ。
その点においては、中国が取った対応は非常に合理的だったように感じる。

繰り返しにはなるが、「勉強することが全て」とか「どちらの国の対応が正解」ということを言っているわけではない。

これらの対応がどのような結果につながるかは分からないが、一刻も早くコロナウイルスによる被害が収束し、コロナウイルスの影響で滞る各種運営が再び円滑に動き出し、間近に迫る東京五輪に世界の人々が安心して参加できるように願っている。