インバウンド需要は「モノ消費」から「コト消費」へ

1989

モノ消費からコト消費へ

モノ消費とコト消費

最近、聞くことが多くなったコト消費。

下記は、モノ消費とコト消費の簡単な定義である。

モノ消費

個別の製品やサービスの持つ機能的価値を消費すること。
価値の客観化(定量化)は原則可能。

コト消費

製品を購入して使用したり、単品の機能的なサービスを享受するのみでなく、
個別の事象が連なった総体である「一連の体験」を対象とした消費活動のこと。

引用:平成27年度地域経済産業活性化対策調査(地域の魅力的な空間と機能づくりに関する調査)報告書



訪日リピーターの増加

訪日観光客が、モノではなくコトを楽しむようになった背景には、温泉や着物を楽しむために訪日するリピーターの増加がある。

観光庁の『訪日外国人消費動向調査』によると、2016年10~12月期の訪日観光客のうち、初めて日本に来るという人は38.4%、2回以上来ているという人は61.6%にのぼるとのこと。

リピーターは訪日観光客の半数にのぼり、その内、14.3%の人が10回以上訪日しているという。日本製品はすでに購入し尽くした顧客が、製品とは異なる精神的な豊かさや価値を求め訪日していることが窺える。 口コミでは「おもてなし」への高い評価が書きこまれることも多い。

同調査では、訪日観光客の多くが次回訪日した際に実施したい行動として「四季の体感」や「自然体験ツアー・農漁村体験」を挙げていることがわかった。
この一方で、ショッピングは、今回実施した人が80.5%いるのに対し、次回実施したい人は43.1%に留まった。

訪日外国人の日本の「コト消費」に対する期待度はかなり高い。


引用:訪日外国人の消費動向訪日外国人消費動向調査結果及び分析平成28年10-12月期報告書



訪日外国人の心境の変化

「すでにモノは買い揃えた」そんな感情が訪日外国人の中に生まれてきているのかもしれない。「すでに物的な豊かさは手に入れた。さらに充実した生活のため、次は精神的な豊かさを手に入れよう」という感情がコト消費へとつながっているのではないだろうか。

これからの「モノ消費」も、「○○を使って××しよう」といった「コト消費」による付加価値をつけて売り出すことで、新規顧客やリピーター獲得につながるかもしれない。